バイヤーペルソナとは?重要性や作成手順、調査ポイントをわかりやすく解説

多くの企業が顧客理解の重要性は認識していながらも、なかなかその実践に至れていないのが現状です。顧客に寄り添った適切な施策を行うには、バイヤーペルソナの作成が欠かせません。

バイヤーペルソナとは、製品やサービスの理想的な購入者像を詳細に設定したものを指します。単なる人口統計データの集まりではなく、その人物の人となり、行動パターン、価値観、考え方、課題までをリアルに表現したものです。

この「疑似顧客像」を作ることで、企業の情報収集担当者や本部バイヤーなどの理解を深め、顧客視点のマーケティングや営業活動を推進できます。しかし、「自社の顧客はこんな人のはず」などの決めつけでペルソナを作成しては、誤ったペルソナが完成し、各種施策の混乱を招くリスクがあります。

それでは、どうすれば各施策の中心となるバイヤーペルソナを作成できるのでしょうか。本記事では、バイヤーペルソナの重要性、作成手順、調査のコツまで分かりやすくご紹介します。

バイヤーペルソナとは

バイヤーペルソナとは、自社の理想的な顧客像または潜在顧客像のことです。自社商品やサービスを販売するためには、ターゲットとなる顧客、特にBtoB製品を選定し購入する企業の意思決定者の理解が欠かせません。現代経営学の父であるピーター・ドラッカー氏も、「マーケティングの目的は、顧客をよく知り、理解することである」と述べています。

自社の顧客がどのような課題や悩みを抱え、どのように情報収集をし、何を要因に購買を決めるのかを理解することで、マーケティングや営業活動を最適化できるのです。そのためには、バイヤーペルソナが役立ちます。

詳しくは後述しますが、バイヤーペルソナの作成においては、実在する顧客を対象にリサーチを行い、良質な情報を収集しなければいけません。そのためバイヤーペルソナ作成の過程で、自然と顧客理解が深まります。

さらに、作成したバイヤーペルソナを社内の各部門で共有することで、全社的に顧客視点を意識した施策が可能になります。営業、製品開発、カスタマーサポートなど、各部門がこのペルソナに集中するだけで、効率よく顧客本位の取り組みを進められるようになるのです。

バイヤーペルソナの構成要素

バイヤーペルソナは主に以下の要素で構成されます。

  • デモグラフィック情報:年齢、性別、職業、収入などの基本的な統計データ。
  • サイコグラフィック情報:価値観、興味関心、ライフスタイルなど、顧客の心理的特性や行動傾向。
  • 行動データ:顧客がどのように情報収集をするか、製品を使用するか、購入決定プロセスなど

特に重要な要素がサイコグラフィックです。バイヤーペルソナの目的は、バイヤージャーニーにおける各ステージで顧客が直面している課題や悩みを理解し、それに対する解決策を提供することです。つまり、バイヤーペルソナ作成の本質はターゲットの悩みや考え方、ニーズをとらえることにあります。

デモグラフィックは顧客の顔を思い浮かべやすくするための情報なので、迅速に作り上げ、サイコグラフィックの制作に注力するようにしましょう。

バイヤーペルソナの重要性とメリット

ここでは、バイヤーペルソナを作成する重要性と3つのメリットを解説します。

メリット1:パーソナライズ体験を提供できる

バイヤーペルソナの作成により、顧客ひとり一人に最適化した体験を提供できるようになります。マッキンゼーの調査によれば、消費者の71%がパーソナライズ体験に期待しており、成長スピードの速い企業は、成長スピードの遅い企業に比べ、パーソナライゼーションによる収益が40%も高いと判明しています。

出典:マッキンゼー

この調査が示すように、テクノロジーや技術が発展した現代においては、機能やサービス内容で差をつけることが困難なため、優れた顧客体験を提供する重要性が増しているのです。

バイヤーペルソナの作成により、認知から購買までにおける各ステージの顧客の悩みや行動などが明確になるため、ターゲットに合わせた最適なコンテンツやサービスを提供することができます。結果として、顧客満足度の向上とブランドロイヤリティの醸成に繋がり、収益の最大化が期待できるのです。

メリット2:顧客の課題やニーズを正確に理解できる

バイヤーペルソナを作成する上で欠かせないのが、実際の顧客へのリサーチです。インタビューなどを通じて顧客と直接対話し、生の声を傾聴することが重要になります。

顧客自身の言葉から、顧客が抱える本当の悩みや問題点、製品・サービスに求める要件、購買を決める要因などを引き出すことができます。こうした顧客の生の声に基づいて作成したペルソナには、顧客の本音や潜在ニーズがリアルに反映されています。これによって初めて、顧客視点に立った的確な施策が可能になるのです。

例えば営業活動においては、ペルソナに基づいて顧客の本当の課題に対処できるソリューションを提案できます。マーケティングでは、顧客が真に求めているものへと的を絞ったメッセージを発信できるようになります。さらに、製品開発においても、顧客ニーズにマッチした改良や新機能の追加が図れるでしょう。

このように、バイヤーペルソナは顧客の本音や潜在ニーズを可視化し、顧客起点の一貫したアプローチを可能にします。リアルな顧客理解に基づく施策は、顧客満足度の向上とブランド力の増大にも直結するはずです。

メリット3:費用対効果を高められる

バイヤーペルソナを作成することで、ターゲットの好みや課題、行動傾向などが明確になるため、各施策における費用対効果の向上を見込めます。

例えば広告出稿では、ペルソナの課題を踏まえたメッセージングやクリエイティブ制作、ターゲティング設定の精度向上が図れます。結果としてクリック率やコンバージョン率が大幅に改善され、無駄な広告費を抑えられるでしょう。

また、営業においても顧客の課題やニーズを把握したうえで商談に臨めるため、より効果的に会話を進められ、受注率の向上が期待できます。さらに、ペルソナに合わせた適切なフォローアップができれば、顧客満足度の向上とリピート率の改善にも繋がります。

このように、バイヤーペルソナを参照しながら施策を最適化することで、無駄な支出を避けながら的確なアプローチができるため、限られた予算の中で最大の効果を発揮できるようになります。

ネガティブ・バイヤーペルソナとは

ネガティブ・バイヤーペルソナとは、自社の製品サービスに向いていない顧客像のことです。たとえば、中小企業向けのソフトウェアを開発している企業の場合、従業員1万人を超える大企業の担当者がネガティブペルソナとなるでしょう。

ネガティブ・バイヤーペルソナを作成する主な目的は、無駄なリソースの投下を防ぐことです。ネガティブ・バイヤーペルソナに当てはまる層に対しては、そもそもコンバージョンが期待できないため、営業・マーケティング活動を行わないよう注意を払えます。

たとえこの層が顧客になってくれたとしても、そもそも自社製品に向いていないため、解約されるリスクが高いです。購入後の解約は、それまでの営業・マーケティング・カスタマーサクセスなどのコストを無駄にしてしまいます。

ネガティブ・バイヤーペルソナを設定しておけば、営業・マーケティング施策の最適化やリソース配分の適正化、余計なコストの発生を防ぐことが可能です。

バイヤーペルソナの作成手順

バイヤーペルソナは、営業やマーケティング、製品開発などあらゆる施策の軸となる概念です。そのため、誤ったバイヤーペルソナを作成した場合、施策の混乱を招き、売り上げの低下や費用対効果の悪化へとつながります。

だからこそ、バイヤーペルソナは適切な手順で作成しなければいけません。ここからは、バイヤーペルソナの作成手順をご紹介します。

STEP1: セグメントの設定

バイヤーペルソナの作成は建築設計に似ています。建築家が建物を設計するように、バイヤーペルソナの作成も全体の構造から考え、詳細な設計に移るのです。そのため、まずはターゲットとなる顧客セグメントの特定から始めましょう。

セグメントの方法は、製品や業界、地理別、行動などさまざまなセグメントで分類できるため、自社のビジネスモデルに合わせてセグメントを設定することが重要です。BtoBの場合は、課題別にセグメント分けするのもよいでしょう。

たとえば、名刺管理ツールの提供企業なら、名刺情報を迅速にデジタル化したいセグメント、企業内の情報共有を円滑にしたいセグメント、展示会後のフォローアップができていないセグメントなどに分類できます。

セグメントを決定したら、各セグメントのデモグラフィック情報を設定しましょう。先にもお伝えした通り、バイヤーペルソナで重要なのはサイコグラフィックのため、デモグラフィックの作成には時間をかけすぎないようにしましょう。

STEP2: 顧客リサーチ

このステップでは、サイコグラフィックに関する情報を収集します。サイコグラフィックの情報収集方法はいくつかありますが、最も効果的なのが実在する顧客を対象にしたリサーチです。複数の顧客を対象にインタビュー、または行動観察をすることで、課題や購買要因などを特定できます。

リサーチをする際のポイントを2つご紹介しましょう。1つ目が、複数の顧客を対象にリサーチを実施することです。「1人の顧客を対象にじっくりリサーチをすればよいのでは」と思われるかもしれませんが、ペルソナ作成においては、複数の顧客に共通する考え方や行動、悩みなどのパターンを特定しなければいけません。

たとえば、1人の顧客は価格を購買要因にしていても、ほかの顧客は機能性を購買要因にしている可能性があります。共通パターンを見つけるためには、少なくとも3から5名を対象にリサーチをしなければいけません。

2つ目が、顧客に自由に会話・行動をしてもらうことです。「このような悩みを抱えていたのでは?」のような誘導質問をしては、顧客の本音を引き起こせません。あくまでも「今の製品にされた理由は?」のように中立的な質問をし、顧客に自由に回答してもらうことが大切です。特にリサーチにおいては、以下のポイントを発見するようにしましょう。

  • 行動や購買をすることになったきっかけ
  • 期待した効果
  • 自社または競合の製品を選んだ理由
  • 情報収集方法

上記項目を明確にすれば、最適なメッセージや情報収集チャネルなどが判明します。

STEP3: 追加情報の収集

顧客リサーチだけでは、十分な情報を得られないかもしれません。そこでアンケート調査や自社が保有する顧客データの分析、営業やカスタマサポートへのヒアリングなどをし、ペルソナ作成に必要な追加情報を収集しましょう。

顧客リサーチで得られた生の声に加え、定量データの分析や社内リソースからの聞き取りなどを組み合わせることで、より多角的でリアルなペルソナが描けるはずです。ペルソナ作成は、断片的な情報を1つずつ積み重ねていく作業であるため、リサーチを起点に、あらゆるリソースからの追加情報収集を行い、ペルソナに肉付けしていく必要があります。

STEP4: バイヤーペルソナの作成

収集した質の高い情報をもとに、ペルソナの作成にとりかかります。PowerPointやExcelなどを用いるほか、いくつかの企業が無料のペルソナ作成ツールを提供しています。たとえば、HubSpotのペルソナ作成ツールは、日本語に対応してはいませんが、質問に回答するだけで分かりやすいペルソナを簡単に作成できます。

バイヤーペルソナは複数メンバーで共有されるため、誰もが直感的に理解できるようにしましょう。当社のバイヤーペルソナ作成サービスでは、ターゲットとなる企業の意思決定者に直接取材をし、精度の高いペルソナを作成します。詳細はサービスページでご覧いただけます。

STEP5: バイヤージャーニーマップの作成

最終ステップでは、作成したバイヤーペルソナにもとづいてバイヤージャーニーマップを作成します。バイヤージャーニーマップとは、顧客の購買プロセスを視覚的に表現したもので、主に以下のステージで構成されます。

  • 認知
  • 比較検討
  • 購買

バイヤージャーニーマップにおいては、各ステージにおける顧客の課題や行動、自社との接点チャネル、施策などをまとめます。

バイヤージャーニーマップを作成することで、各購買ステージにおける顧客が抱える課題や求める情報が可視化されるため、効率よく施策を展開できるようになります。

当社のバイヤージャーニー作成サービスでは、BtoB市場の複数の意思決定者が関与する複雑な購入プロセスを明確にします。詳細はサービスページをご覧ください。

バイヤーペルソナ調査におすすめのリソース

繰り返しになりますが、バイヤーペルソナの作成では質の高い情報収集が欠かせません。しかし、ペルソナの作成経験が少ない方は、有効な情報収集に苦労することでしょう。そこでここからは、バイヤーペルソナ作成時におすすめの情報収集リソースをご紹介します。

既存顧客・見込み客

最も重要なのは、既存顧客や見込み客です。これらのグループから直接情報を得ることで、実在する顧客のニーズや振る舞いを正確に把握することができます。インタビューやフォーカスグループ、行動観察などの定性調査を通じて、顧客の課題やニーズなどを深く理解しましょう。

アンケート調査

アンケート調査は、大量のデータを効率的に収集する手段です。オンラインで簡単に実施でき、顧客の嗜好、購買行動、製品に対する感想など、多岐にわたる情報を得られます。

アンケート調査は仮説検証や客観性を高めるのにも最適です。たとえば、顧客インタビューで「自社のターゲットは○○を購買要因にしているのでは」という仮説を得られたら、アンケート調査で検証をするという使い方も考えられます。

商談への同行

営業部門が行う商談に同行することで、顧客と直接対話をして、貴重な示唆を得られます。商談への同行が難しい場合は、事前に営業部門に質問事項をわたす、顧客との商談内容を共有してもらうなどもよいでしょう。

営業やカスタマーサポートへのヒアリング

営業やカスタマーサポートなどは、顧客と日常的に接する機会が多いため、顧客の考えやニーズについての深い理解を持っています。顧客との接点が多い部門へヒアリングするだけではなく、ペルソナ作成に積極的に参加してもらうようにしましょう。顧客解像度が高いメンバーが参加することで、ペルソナの質がぐっと高まります。

SNSやレビューサイトでのデータ収集

どうしても企業担当者が目の前にいる顧客インタビューや商談では、顧客は本音を言えないかもしれません。顧客の本音を収集したい場合、SNSやレビューサイトなどの匿名で意見を言えるプラットフォームを活用しましょう。

たとえば、世界的なチャットツールSlackは、X(旧Twitter)で製品や機能に関する意見を収集し、機能改善に役立てていることで有名です。SNSやレビューサイトなどから有益な情報が得られることはあるため、積極的に活用しましょう。

競合他社の顧客

競合他社の顧客を分析することも、有効な戦略の一つです。自社と競合のターゲットのデモグラフィックは重複している傾向にあります。このことを踏まえると、競合他社の顧客を分析することで、精度の高いデモグラフィック情報を得られます。

さらに重要なのが競合を選んだ理由、すなわち自社が選ばれなかった理由を解明できる点です。たとえば、機能面での差や施策の展開チャネルが原因と判明するかもしれません。

このように、競合他社の顧客データから、デモグラフィックデータ、自社の弱み、共通する顧客層の特性など、バイヤーペルソナ作成に役立つ多くの示唆が得られるのです。

GoogleアナリティクスやCRMなどのデータ利用

GoogleアナリティクスやCRM(顧客関係管理)システムなどのデジタルツールを活用することで、顧客の行動や興味に関する量的データを得られます。

このようなデータを効果的に活用する方法としては、まず行動データの活用があります。Googleアナリティクスから得られるウェブサイトの行動データ(訪問者数、滞在時間、流入元、コンバージョン率など)は、ペルソナの行動パターンを描く上で役立ちます。モバイル端末からのアクセスが多ければ、モバイルファーストのペルソナが適切かもしれません。

次に人口統計データの利用が挙げられます。CRMやメーリングリストなどから収集した人口統計データ(年齢、性別、所在地など)は、ペルソナのプロフィールを形作る基礎となります。さらに購買履歴や閲覧履歴のデータから、ペルソナの嗜好や関心事項を読み取ることが可能です。

また、行動データを時系列で分析することで、ペルソナの顧客ジャーニーを可視化したジャーニーマップを作成できます。自社で蓄積した顧客データを分析することで、説得力のあるペルソナ作成が行えるでしょう。

バイヤーペルソナ調査のポイント

効果的なバイヤーペルソナを構築するためには、データ収集と分析のプロセスにおいていくつかの重要な考慮事項があります。ここでは、その調査プロセスを最適化するためのキーポイントを解説します。

インタビューする対象と人数の決定

バイヤーペルソナの調査を始める際に最初に行うべきことは、インタビューする対象と人数を決めることです。基本的には、顧客を対象にすることが一般的ですが、どの顧客を選定するのかを決めなければいけません。

顧客歴の長いロイヤルカスタマーを対象にすれば、優良な顧客となりうるペルソナを作成できます。しかし、ロイヤルカスタマーは顧客歴が長いため、当時の課題や購買動機などがあいまいになっている可能性が高いです。そのため、ロイヤルカスタマーだけではなく、比較的記憶が明確な新規顧客も対象にするとよいでしょう。

インタビューをする人数は、多ければ多いほど良いというわけではありません。統計学の世界には、少数の人に集まる共通項が大多数にも当てはまることを示す「統計的代表性」という概念があります。統計的代表性を踏まえると、セグメントから少なくとも5人ほど抽出し、質の高い情報を集めてパターンを特定しましょう。

仮説レベルの発見の場合、アンケート調査をはじめとした量的調査で検証するのがおすすめです。

インセンティブの活用

リサーチに協力してもらうためには、まとまった時間の拘束が必要となります。参加者にその労力に見合うだけの価値を感じてもらえなければ、なかなか協力が集まらないでしょう。そこで効果的なのが、適切なインセンティブを用意することです。

一般的なインセンティブは、現金、商品券、サービスの割引、業界レポートの提供、無料の支援やコンサルティングの提供などです。適切なインセンティブを設定することで、より多くの参加者に協力してもらえ、価値あるデータの収集を促進します。

営業目的ではないことの明示

バイヤーペルソナの調査を行う際は、参加者に対してその調査が営業目的でないことを明確に伝えることが重要です。調査の主な目的が市場理解であり、営業活動に直接繋がるものではないという点を予め強調することで、参加者の不安を解消し、オープンな意見が得られるようになります。

また、調査の匿名性を保証し、個人情報が一切使用されないことも参加者に告げることで、安心して率直な回答が期待できるでしょう。さらに、調査が中立的な第三者によって行われるという点を明記することで、その信頼性を高めることができます。

このようにして、企業の意向に左右されない公平な調査が保証されれば、参加者はより自由に本音を話すことが可能となります。

質問内容の検討

バイヤーペルソナを正確に作成するためには、調査の質問内容を慎重に検討する必要があります。

まず、質問は具体的かつ明確なものでなくてはなりません。抽象的な質問では的確な回答は得られないためです。参加者の生活習慣、購買行動、製品・サービスへの感情、直面している課題などの観点から、できるだけ具体的な質問を設計しましょう。

同時に、「はい/いいえ」で答えられる閉じた質問ではなく、開かれた質問を多く取り入れることをおすすめします。開かれた質問に対しては、参加者が自由に語ることができるため、予期せぬ貴重な示唆を得ることができるからです。たとえば、「購入を検討する際、どのようなことに気をつけていますか?」や「どのような製品が理想ですか?」などです。

また、バイヤーペルソナに必要な情報が網羅されているかを確認します。人口統計情報、ライフスタイル、価値観、購買プロセス、選択理由、不安・課題など、ペルソナを形作る上で重要な項目に漏れがないかをチェックしましょう。

さらに、質問の順序や流れにも注意を払う必要があります。冒頭で参加者を話の流れに乗せ、徐々に重要な質問へと移行するよう構成することが賢明です。突発的な質問は避け、自然な会話の延長線上にあるよう心がける必要があります。

バイヤーペルソナの例

最後にバイヤーペルソナの簡単な例をご紹介します。ここでは、BtoB企業が提供するクラウドベースのCRMソリューションを対象としたバイヤーペルソナの例を挙げます

バイヤーペルソナ:田中 大輔

【基本情報】

  • 年齢:45歳
  • 職業:ITマネージャー
  • 業種:製造業
  • 企業規模:中堅企業(従業員数500人)
  • 所在地:東京

【背景】

  • コンピューターサイエンスの学士号保持
  • 15年以上のIT業界経験
  • 最新テクノロジーを取り入れ、チームの生産性向上に注力

【デモグラフィック】

  • 既婚、子ども二人
  • 年収約1200万円
  • 技術に精通し、新技術への適応力が高い

【目標】

  • IT部門の運営効率化
  • 社内のデータ管理と顧客情報整理の改善
  • 社員の技術スキルと生産性の向上

【課題】

  • 古く複雑なCRMシステムの更新と効率化が必要
  • データの分散問題による一元管理の困難
  • 新システム導入時の社内抵抗

【情報源】

  • IT関連の専門雑誌、オンラインフォーラム
  • 業界カンファレンス、ワークショップ
  • 同業他社の成功事例や失敗事例

【購買決定に影響を与える要因】

  • 製品の使いやすさと効率
  • サポートとアフターサービスの品質
  • ユーザーレビューと評判

このように、田中さんのペルソナを通じて、製品やサービスのターゲット顧客が直面している課題やニーズを明確に理解し、マーケティングや製品開発に活用することができます。

まとめ

バイヤーペルソナの策定は、顧客の深層にあるニーズや課題を明確に把握し、それを基に各種事業戦略を最適化する強力なツールです。このアプローチにより、部門間での顧客理解を一元化し、どのタッチポイントでも一貫した顧客体験を提供できるようになります。

ただし、実際のバイヤーペルソナの作成は、膨大な時間とコストが投じられる複雑なプロセスです。BtoB市場では特に、多忙を極める意思決定者から貴重なフィードバックを引き出すことは一筋縄ではいきません。また、インタビューを実施しても、有効な示唆が得られるとは限りません。

そこで私たちのサービスが解決策となります。専門のリサーチャーが直接、ターゲット企業の経営者や意思決定者にアプローチ。購買プロセス、重要な購買要因、情報収集の手段、購入時の懸念や優先順位など、深い洞察を掘り下げたバイヤーペルソナをご提供します。事業の核となる戦略的洞察を得たい場合は、ぜひお問い合わせください。

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